ガン細胞の緻密な計画書”マイクロRNA”を知ろう! – プラズマサロン ひだまり庵

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ガン細胞の緻密な計画書”マイクロRNA”を知ろう!

前回、ガン細胞は周囲の細胞にエクソソームという顆粒を分泌することで、ガン細胞自身が成長しやすいように環境作りをしていくことを説明しました。
今回は、そのエクソソームという顆粒の中に入っている物質の一つ、「マイクロRNA(miRNA)」についてお伝えします。


マイクロRNAは、正常な遺伝子にコードされたDNA配列が元となって作成されるものです。
一般に、20~25mer(マー;1merは1塩基対)の長さを持つ1本鎖RNAであり、その種類は現在のところ2,200以上確認されています。マイクロRNAの標的はmRNA(メッセンジャーRNA)であり、mRNAの遺伝子発現を調節する領域に結合することによってタンパク質への翻訳を抑制し、それによってタンパク質の産生を抑制する働きを担っています。DNAのメチル化やヒストンのメチル化、アセチル化によって転写前に発現調節が行われるエピジェネティック的な調整ではなく、転写が終わって生じたmRNAに対して調整していくものです。
マイクロRNAによって抑制されるものは、発生、細胞増殖および細胞分化、アポトーシスまたは代謝、シグナル伝達といった、広範な生物学的プロセスに至っており、大変重要なメカニズムです。決してガン細胞が壊れた遺伝子によるデタラメな活動なのではなく、あらかじめ遺伝子に刻み込まれた、非常に計画性の高いものだということです。
マイクロRNAの設計図がコードされているのは、DNAの中で、一般のタンパク質の設計図がコードされていない部分であり、“ジャンクDNA”(役に立たないDNA領域)と呼ばれていたところです。
生物は、遺伝子に書かれているタンパク質の発現を調節する場合、DNAレベルでも、RNAレベルでも調節が行われていて、いわば多重の調節機能を持っているのです。


これまでの研究で、特定のガン細胞において特定のマイクロRNAが増加したり減少したりすることが明らかにされています。
よって、その種類と濃度を調べることによって、ガンや認知症など各種疾患の診断に応用されつつあります。
ちなみに、一つのマイクロRNAが標的にしているmRNAの種類はかなり多く、例えばmiRNA520dでは、なんと8,000種類以上と推定されています。
このような調節を計画的に行う姿を見ると、生命現象の複雑さと奥深さを感じます。

さて、2014年1月に、鳥取大学医学部病態解析医学講座薬物治療学分野の三浦典正准教授らの研究チームによって、ガン細胞にmiR-520dを導入することにより、ガン細胞の悪性度が喪失したり、正常幹細胞へ形質転換したりすることが報告されました。
つまり、悪性度の高い腫瘍がmiR-520dにより制御された結果、p53(ガン抑制遺伝子)の高発現を維持しつつ、ガン細胞を正常幹細胞系へ変換するという現象が起こったということです。
また、分化度の低い、つまり悪性度の高いガン細胞ほど、miR-520d導入の効果が早く表れたとのことです。
ですから、何かしらの行為でガンが奇跡的になくなったりするのは、この働きが関与している可能性があります。
そしてこのマイクロRNAの研究によって、とても重要なことを学ぶことになりました。
それは、「ガン細胞は遺伝子が壊れているから正常細胞に戻らない。そのため、ガン細胞は切り取るか殺傷するしか方法は無い。」という考え方に対して、真っ向から否定するものとなったことです。
繰り返しますが、ガン細胞は体内環境の悪化によって正常細胞が計画的にガン化したものであり、そのガン幹細胞の遺伝子は壊れてはいないということです。

(参)杏林予防医学研究所アカデミー、医者に頼らなくてもがんは消える

2019.10.01[ ブログ ]

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