”敵を知り己を知れば百戦危うからず”、ガン細胞の生き残り戦略を知ろう!(その1) – プラズマサロン ひだまり庵

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”敵を知り己を知れば百戦危うからず”、ガン細胞の生き残り戦略を知ろう!(その1)

ガン細胞は、本来自らの細胞です。しかし、我々の浅はかな生活習慣により体内環境の悪化から発ガンを引き起こしてしまったのです。
そのガン細胞は、今まで封印していた能力をフル活動して生き残りをかけて増殖していきます。そのびっくりするほどの数々の戦略を見てみましょう。

まず、ガン幹細胞は悪環境を改善するために、ガン微小循環(ガンニッチ)を作ります。
そして、このガンニッチの内部にはガン幹細胞とそれによって生み出されたガン細胞が存在していますが、その他に好中球、マクロファージ、リンパ球、繊維芽細胞などが一緒になって細胞集団を形成しています。
さらにこのガンニッチ全体が細胞外マトリックスで包まれています。
環境が悪くて、そのままでは生き延びられないからこそ、周囲にバリアを設け、その内部だけでも浄化し、棲みやすい環境を作り出すのです。
ですから、ガンニッチにおいてガン幹細胞とマクロファージは密に連絡を取り合いながら、ガン組織を守ったり成長させたりする方向に働いています。
さらに、マクロファージからリンパ球、好中球などの顆粒球に向けて、同様の指示が伝えられ、皆でガン細胞の生存・育成に協力しているのです。
つまり、ガン細胞の周囲の免疫細胞は、ガン細胞の味方になっているのです。
そもそもガン幹細胞もガン細胞も自己であり、ニッチ内部のみならず、ガン幹細胞から分泌されるエクソソームが血流に乗り、全身の各種細胞に指示が行き渡り、全身レベルでガン細胞の成長を支援する体制が築き上げられていくのです。

さて、ガン細胞はエクソソーム以外にも免疫を抑制する物質を多く排出します。サイトカインの一種であるケモカインCCL22を放出することで、制御性T細胞が集まりガン細胞を守ることになります。
このようにガン細胞は、免疫系の攻撃から回避するための複数のメカニズムを持ち備えています。
もし、免疫細胞がガンを攻撃しようとしているのならば、生体は免疫力を上げるために体温を上昇させるのですが、ガンが発生しても体温が上昇しないのは、生体がガンを攻撃しようとしていないからなのです。


ガンニッチは、抗ガン剤や放射線照射からガン幹細胞を守っています。
以前から、ガン幹細胞はこれらの攻撃が及ばないことは広く知られていました。
もともとガンニッチは、悪化した細胞環境から逃れるための構造物のため、内部には薬物が届きにくいわけです。
それ以外に様々な手段を駆使して、ガン幹細胞は薬物や悪環境に対抗します。
それは、ヒトの遺伝子には、何十億年という生命の歴史において獲得してきた様々な能力が保持されていて、普段は眠らせている遺伝子が数多く存在しています。
よって、ガン幹細胞自体が薬物や悪環境に対抗すべく、分化した組織の細胞が使えない遺伝子を発現させてくるのです。
具体的に、ガン幹細胞が抗ガン剤に対する手段は、
・抗ガン剤を細胞外に排出する
・休眠型になって抗ガン剤を取り込まないようにする
・抗ガン剤がターゲットとしている代謝系を変更する
・抗ガン剤そのものを化学的に変化させる
・DNA修復する能力を高める
・アポトーシス(自死)のシステムにスイッチが入らないように変更する
・ガンニッチ内部の血流を適度に制限することによって、内部の抗ガン剤濃度が上がらないようにする
・抗ガン剤が薄まったときを見計らって、細胞分裂に娘細胞の染色体異常や遺伝子変異を積極的に誘発し、薬剤耐性の向上を目指す

以上のような活動の結果、ガン組織は縮小することが多く、一見してガンの勢力が弱まったように感じられます。そして、この様子をもって、抗ガン剤の効果と謳っているわけです。
しかし、さらなる時間の経過とともに、あるいは抗ガン剤が除かれると、今度は薬剤耐性を高めたガン細胞は急速に増殖し始めることになるのです。


一般的に、ガン細胞の細胞内浄化能力はとても高いことが知られています。
ガン診断の腫瘍マーカーとして利用されているグルタチオン転移酵素は、薬物を抱合して細胞外に排出するグルタチオン濃度を高めるために増加します。
あるいは、ガン細胞ではオートファジー機能が高まっていることが知られています。
これは、細胞内環境を浄化するとともに、分解したタンパク質からアミノ酸を得て、ガン細胞自身の生存に必要なタンパク質の合成を活発化させていることによります。
また、ガン幹細胞は骨髄の細胞などと違って、いつでも休眠状態に入ることが可能なので、抗ガン剤に強いばかりか、電離放射線にも強くなります。

さらなるガン細胞の生き残り戦略は次回にお伝えします。

2019.10.10[ ブログ ]

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