オーソモレキュラー療法は、病気を改善させるために必要な至適量の栄養素を用いる治療法であり、がん患者さんの生存期間を延長します。 – プラズマサロン ひだまり庵

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オーソモレキュラー療法は、病気を改善させるために必要な至適量の栄養素を用いる治療法であり、がん患者さんの生存期間を延長します。

オーソモレキュラーという言葉は、2度のノーベル賞受賞したライナス・ポーリング博士の造語で、1968年にアメリカの科学雑誌「サイエンス」に発表されたのが最初になります。“ortho”は「整える」、”molecule“は「分子」になり、「人の身体に備わっている分子(栄養素)を至適濃度に保つことによって、生体機能を向上させ、病態改善を図る治療法」となります。

「Man is what he eats.(人の身体は、食べたものからできている。)」という言葉がありますが、「食べ物に気をつけないと病気になったりするから気をつけなさい。」という意味を含んでいます。

オーソモレキュラー療法では、この言葉が表す意味をさらに発展させたものといえるでしょう。


通常では、栄養素は不足にならないようにしていれば十分であると考えられています。これは栄養素の発見が、それぞれの栄養素の欠乏症の治療を目的にしてきたことによります。そのため、ビタミンB1は脚気にならないために必要十分な量として1日1mgという量が決められ、ビタミンCに関しては壊血病にならず現代社会でも欠乏しない量として1日100mgとなっています。

オーソモレキュラー療法で使用する栄養素の量は、通常の食材から得られる量と比較して、ときに100倍以上になります。そのため「大量ビタミン療法」とか「メガビタミン療法」と表現されることがあります。しかし、この表現は不適切なものであるといえます。ビタミンCによるがん細胞への効果は、高濃度ビタミンC製剤を用いて点滴によって投与しなくては達成できない濃度で初めて得られるものです。一般的な化学では、ある反応が得られる最適な濃度のことを至適濃度と表現し、その濃度が得られる物質量を至適量と表現します。

オーソモレキュラー療法は、病気を改善させるために必要な至適量の栄養素を用いる治療法であり、メガとか大量という言葉で表現されるものとは異なるのです。

また、オーソモレキュラー療法で用いる栄養素の至適量は、治療対象となる病気によってそれぞれ異なっています。たとえば、疲労感を改善するために必要なナイアシンの至適量は1日1g程度であり、うつ症状の改善には1日2g、統合失調症の症状改善のためには1日3g程度が必要と、同じ栄養素でも至適量が全く異なるのです。

そしてもう一つ重要な要素が、使用する栄養素の質です。使用量が通常の100倍以上の栄養素を用いることもあるので、質の良さが重要なのです。

原材料が天然素材で質が良いとうたっていても、本当の質については知ることができませんし、量に関しても、計算上の量を表示しているので、実際の含有量が少ない製品もあります。そして、しっかりと効果が得られるサプリメントを作るためには、大変なコストと手間がかかります。含有量を見て、あまりにも割安なサプリメントには注意しましょう。


さて、オーソモレキュラー療法を確立したもう一人の重要な人物にカナダの精神科医エブラム・ホッファー先生がいます。先生は、統合失調症に関するナイアシン補充療法を発表して以来、大学教授の職や学会会長などの立場を全て失うことになりましたが、うつ症状を伴うがん患者を数多く診療されました。先生は、薬をできるだけ使用せず、食事とサプリメントを用いて精神症状の治療をするのですが、それによりがん患者が元気で長生きすることが分りました。そのホッファー先生の長期的な臨床結果は驚くべき成果でした。

がん患者への栄養処方は、通常では食事で補うことが不可能な量なので、サプリメントを使用しています。1日量として、βカロチンは30000IU、ビタミンB群は50~100mg、ビタミンCは12gなどです。ビタミン以外では、セレンと亜鉛のミネラルもあり、先生のレシピでは体内のフリーラジカルを消去する作用が強調されています。

そして、先生のレシピによって治療を受けた患者群と、同じ程度のがんの進行度でオーソモレキュラー療法を受けなかった患者群との平均生存期間は、オーソモレキュラー療法を行った患者群では45カ月で、行わなかった群は2.6カ月と、約20倍の生存期間延長に成功しています。ちなみに、対象は、乳がん、子宮がん、卵巣がん、肺がん、すい臓がんなどで、比較した全てのがんにおいて、著しい生存期間の延長です。(1978年からの15年間の観察結果なので、現在ではそれぞれ延長しているのでそこは勘案する必要があります)

そして、この効果は一時的な腫瘍の縮小ではなく、生存日数だということです。

このように、栄養療法が標準治療よりはるかに優秀にも関わらず、標準治療に取り組んでいる医師たちがまだまだ無関心なのはとても残念です。

がんの詳しい診断がされるまで、あるいは治療が始まってからでも、このような栄養療法は取り入れて行きたいですね。

 

(参)分子栄養学講座、がんになったら肉を食べなさい

2021.01.20[ がん ]

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