10月になり急に涼しくなりました。
さて、10月は乳がんの啓発ピンクリボン月間とのことですが、このピンクリボン運動は、1980年代、アメリカの乳がんで亡くなられた患者さん家族が「このような悲劇が繰り返されないように」との願いを込めて作ったリボンからスタートした乳がんの啓蒙運動です。
ところが、この切なる願いとは裏腹に、今行われている啓蒙運動は、早期発見・早期治療という表向きごもっともですが、本心は医療ビジネス化しています。
というのも、早期発見で行われる「マンモ検診」では、乳がん発見数は増えるのですが、乳がん死亡を減らすことは出来ないのです。つまり、しっかりしたエビデンスのもと「無効」なのです。
そして、早期治療で早くから乳房を摘出することにもなります。
また、乳がんのタイプの中には、数パーセントほど遺伝的に乳がんになりやすい体質を受けついている場合があります。乳がんと関連がある遺伝子は数多くありますが、主なBRCA遺伝子は二本鎖切断された大きなDNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。この遺伝子に病的な変異があり、働きが失われていると正常な修復が妨げられ、乳がんや卵巣がんになりやすくなると考えられているわけです。
DNAに二本鎖切断を引き起こす主なものは、X線やγ線などの電離放射線です。
このような遺伝子の修復に関わる遺伝子が働きにくくなっている人に、早期発見と称して毎年のようにレントゲン検査やマンモ検診をするとどうなるでしょうか。これらの検査・検診こそX線被曝であり、放射線被曝です。
ただでさえ、BRCA遺伝子に変異を持たない場合であっても、検査時に浴びるX線によって、発がん率が何倍にも高まることが多く報告されています。
また、超音波検査でもがんを早く見つけて手術することのメリットを示すエビデンスは全くありません。
いずれにせよ、乳がんに対して早期発見・早期治療は有害無益です。エビデンスを無視して医療ビジネスにまい進しているだけの恐ろしい運動です。
ですから、ピンクリボン運動のきっかけになった、乳がんで亡くなられた患者さん家族が「このような悲劇が繰り返されないように」という純粋な願いに共感して祈ることや、栄養や食事のとり方の啓蒙が正しい運動のように思います。
(参)やってはいけない健診事典